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2010年12月 アーカイブ

これからの生き方 3

男と道で出会う山小屋の住人たちと話が弾む。

「知ってますか。

ゴジュウカラを。

シジュウカラじゃないですよ。

ゴジュウカラはね、木を逆さに下りるんですよ。

頭を地面に向けて、逆さになって木をつたって下りるんですよ。

初めて見たときは、思わず目をこうやってこすりましたよ」「星を見ながら眠るんですよ。

この辺は星が多くてね、一晩に三つも流れ星を見たことがあってね。

最高ですよ。

すぐ眠れますよ。

最近は冬でも、窓開けて星を見たいときがあってね。

女房にしかられてますよ」。

男と同年齢ぐらいの男たちが興奮している。

建築現場に同行した妻が、山の男たちの無邪気で饒舌なのにたまげている。

男の会社には「定年後七年」という言葉があった。

五七歳の定年なのだが、多くの先輩は会社を辞あると、平均わずか七年の寿命しかない、という。

厳しい身体検査をし、健康診断を定期的に行いながら、なお日本人の平均寿命に遠く及ばない。

、男が入社した当時の上司も六〇の坂を過ぎると、次々と倒れた。

そのたびに、男は落ち込んだ。

とりわけ、同じくらいの年齢の同僚の死は男を無口にした。


やはり、バリバリに働いていた人というのは、定年後がこわいですね。

面白い恥ずかしい話

「はずかしい体験」諦の中で、私がすごく気に入っているのは、私の行くヒーリング 東京で女子学生からきいたものだ。

彼女ジャニスは、けわしく切り立った峡谷の小径をハイキングしているとき、頭上の岩に生えている野草の花に気づいた。

彼女は、自然界の奇蹟をほめたたえるべきだと感じて、ごつごつの岩をよじのぼった。

ようやく花の近くにきて、香りを嗅こうと身をかがめたとき、花びらがぱらりと全部落ちてしまった。

ロマンティックに浸ろうとして、あえなく裏切られた彼女は、けたけたと峡谷中に響く声で笑った。

自然が、チャップリン顔負けのジョークをしかけてきたのだ。

ニューヨークに住んでいる友人の俳優の話だが、彼は、工事中のリンカーン・センターの中庭で、お弁当を食べていた。

すると、剥がされた敷石の問を縫うようにして、ひとりの男がやってきた。

男はけつまずき、あやうく転びかけた。

しゃんと体をたてなおすと、だれか見ていなかったかとあたりを見まわした。

そしてわが友人と目が合うと、彼は両手をあげ、肩をすくめて笑い出した。

なんとそれは、バレエ・ダンサーのルドルフ・ヌレエフだった。

これからの生き方 4

「何か、森の人は顔が違うわね。

生き生きしてるというか……」と女房が口を開いた。

「そうだろ」男が相槌を打つ。

「山の人はね、顔が違うだろ。

いい顔つきしてる。

あんな顔は会社じゃ夏休み明けに少し見るだけだ」。

毎年の夏、職場の同僚を見て気づくのは、休みを取る前と休みを取った後では、同一人物の顔つきが驚くほど違うことだ。

わずか数日の休日なのに、顔にパッと、生気が戻る。

実は、男はそんな顔をこの地でたくさん、見つけたのだ。

「お前、定年後七年という話、知ってるだろ」と、男は妻に聞いた。

もちろん、妻は知っている。

「考えてみると、これは平均でね。

へたしたら、俺ももう一〇年もたんよ」。

女房は男の口調に驚き、男の疲れた顔と山の男たちの顔を一瞬比べた。

日本経済は、大量の貿易黒字を抱え、日本は世界で最も金持ち国となった、という。

しかしそれはあくまで計算上の所得であり、稼いだ給料の多くは土地や住宅のローンに吸い上げられて実際の生活水準に結び付いていない。

サラリーマンは名目的に数字を挙げられても、もう豊かにも、幸せにもならないことを知ってしまった。


外国の人からは、「日本人は休暇を取らない」とよくよく言われますね。

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