これからの生き方 3
男と道で出会う山小屋の住人たちと話が弾む。
「知ってますか。
ゴジュウカラを。
シジュウカラじゃないですよ。
ゴジュウカラはね、木を逆さに下りるんですよ。
頭を地面に向けて、逆さになって木をつたって下りるんですよ。
初めて見たときは、思わず目をこうやってこすりましたよ」「星を見ながら眠るんですよ。
この辺は星が多くてね、一晩に三つも流れ星を見たことがあってね。
最高ですよ。
すぐ眠れますよ。
最近は冬でも、窓開けて星を見たいときがあってね。
女房にしかられてますよ」。
男と同年齢ぐらいの男たちが興奮している。
建築現場に同行した妻が、山の男たちの無邪気で饒舌なのにたまげている。
男の会社には「定年後七年」という言葉があった。
五七歳の定年なのだが、多くの先輩は会社を辞あると、平均わずか七年の寿命しかない、という。
厳しい身体検査をし、健康診断を定期的に行いながら、なお日本人の平均寿命に遠く及ばない。
、男が入社した当時の上司も六〇の坂を過ぎると、次々と倒れた。
そのたびに、男は落ち込んだ。
とりわけ、同じくらいの年齢の同僚の死は男を無口にした。
やはり、バリバリに働いていた人というのは、定年後がこわいですね。