これからの生き方 1
これからの生き方について考えさせられました。
男が初あて新車を買ったのは四五歳のときだった。
「こんどは新車を買おうか」と男が妻に言ったとき、結婚して二〇年近い女房はとまどい、子供たちは喝采した。
なぜなら男は常々、同じ徒%機能を持つのに、ただ新しいだけで中古の三、四倍もの金をかけて新車を持つなど正気の沙汰ではない、と言っていたからだ。
新車が家に届き、初めて運転したとき、男は感嘆した。
これまで使っていた車は一〇年物。
この一〇年間の、日本の自動車産業の進歩を知識としては知っていても、自分では楽しんでいなかったから無理もない。
つつましく、将来や不時に備えて一歩一歩歩む律儀なタイプの男である。
が、それから二年、大して金藩まったと思えないのに・男は今度は山梨県・八ヶ岳に山荘をつくると言って、家族から親戚までを唖然とさせた。
女房は真剣に家計の心配をしている。
いや、女房が本当に心配しているのは家計より、男の中でこのところ何か異変が起きていないか、である。
男が八ヶ岳の南麓につくっている山荘は、わずか二部屋の文字どおり小さな山小屋である。
標高一四〇〇メートル、夏は爽やかだが、冬は零下二〇度近くになる。