日本は自然に恵まれているか 3
最近では、どうにか開発の手から免れて残されてきた亜高山性の針葉樹林帯、お花畑やハイマツに象徴される高山植生域にまで、自然に飢えた人たちがすさまじいまでの勢いで殺到しています。
当然そこでは観光道路が出来、さまざまな観光施設やスーパー林道などに象徴される各種の交通施設も出来てきます。
現在はまさに、日本列島傷だらけとも表現しうるほど、自然の緑は大規模な変貌を強要されているのです。
急速に消滅しているのは自然の森だけではありません。
関東地方の雑木林に例をとってみましょう。
そこでは、人々は長い間木炭やたきぎを取るために、15年か20年おきに定期的な森林の伐採を行なってきました。
家畜小屋に敷くため、また当時の唯1の肥料であった有機肥料源として下草刈り・落葉かきなどをして、自然と共存してきました。
国木田独歩の『武蔵野』の雑木林、また徳冨藍花の『自然と人生』などに出てくるクヌギ・コナラなどの里山の雑木林は決して自然の森ではありません。
また、箱根の十国峠や仙石原のススキ草原、九州は阿蘇の草千里などのススキ草原・シバ草原も、そのほとんどはかつて森林で被われていた地域なのです。
しかし、定期的な放牧・採草、さらに1年ないし4年に1回の火入れという人間の影響下に、現在あるような形で成立した二次草原です。
今やこのような二次草原・二次林も含めて自然の緑はニュータウン開発や道路造りによって急速に破壊されました。
そして赤茶けた、まさに裸の死の地肌が露出しつつある惨状が各地に見られるようになってきています。